トレー町工場の後継奮闘記〜売れない営業マン_商社編④〜
法人営業は既存顧客と新規顧客に分かれます。中でも新規顧客は営業が苦労する部分です。私も商社時代はかなり苦労し、悩む時期が続きました。
本記事では、中々売れなかった新規営業を振り返り、どうすべきだったかを書き綴ります。
新規営業活動の内容
まずは当時の私がどんな動きをしたのか記載します。
是非とも、こいつまだまだだな、と思いながら読んで下さい。
ものづくり補助金を軸にした初動
「よし芝田、補助金について調べてみろ」
既存顧客への営業に慣れてきた自分に対しての、上司からのコメントでした。
当時は景気も悪く、設備投資は見送りとなるケースばかり。新規営業は設備販売がメインだったため、何かを変える必要がありました。
自分は補助金コンサルタントをリストアップし、複数の方にお話しを伺いました。
そして信頼できる1社を選択し、社内の先輩方に展開しました。
MEMO:振り返りポイント①
新規営業デビュー
ネタを一つ持った上で行うのは、顧客リスト作成です。他部署の営業先や既存顧客の周辺企業など、手探りで必死に探しました。そうして数十社のリストを作成しました。そしてついにデビューです。
震える手足と心を押さえ込みながら、周りの同僚に聞かれている恥ずかしさを堪えながら、受話器を取りました。当然ながら相手にされないケースも多く、メンタルをすり減らしましたが、数社アポイントを取得することができました。
中でも1社は「購入設備が決まっており、補助金で悩んでいた」という補助金のみで刺さるという奇跡が起きました。
初の新規販売
いよいよ奇跡的にヒットしたお客様への訪問です。
補助金だけ必要ということでは、正直商社が関わる価値がありません。
そこで私は、お客様が製造されているパイプに使えそうな機器を一生懸命調べました。
そして訪問当日、一生懸命調べた製品検査用のセンサーが奇跡的にヒットします。
補助金は粛々と進めつつ、検査用センサーの商談を進めていくこととなりました。
- 製品検査用センサーとは
-
色々なタイプがありますが、今回のお話では、レーザー光を用いて製品の形状をデータ化するセンサーという意味で使用しています。これにより、製品の形状に不良がある場合に、自動検知して作業者に知らせることが出来ます。
センサーというと圧倒的シェアを誇る大手企業がイメージされます。私はどうしたら勝てるかを考え続けました。するとお客様からサポートが不安という声を頂きました。正直これしかないと思い、私は仕入れ先の方と共に徹底的に動きました。
- デモ機の貸し出し
- 2-3回の現地トライ立会
- 色々と理由をつけて、上記以外でも足を運ぶ
- 補助金案件の推進もとても貴重な訪問接点でした
不思議なもので、センサー案件で足を運ぶことで、補助金以外にも案件のお話しを伺うことが出来ました。今でも忘れない、営業って楽しいなと思った瞬間の一つです。
そうしてありがたいことに、初の新規受注を頂きました。
入社から約1年半、設備が売れなかった私の小さな成功体験です。
新規受注を軸にした拡販活動
一つの成功体験を得た私は、次の新規営業に繋げようと無い知恵を絞りました。
「そうだ、パイプ向けのお客様で絞ってみよう」
そう思って、パイプ製造をされている企業をリストアップしました。
MEMO:振り返りポイント②
振り返りポイントなので、結果はご想像の通りかもしれません。そう、全く売れませんでした。
このあたりから、「商社の価値って何なんだろう」と真剣に考え始めます。
そんな中上司からアサインされた「新人向け社内DX人材セミナー」が一つの転機となります。
データ活用への挑戦
DXセミナーは、価値を欲していた私にとって、願ってもないチャンスでした。
必死に受講しました。そして得られたのは以下の知見です。
- 商社として圧倒的な受発注ボリュームがあり、データ自体は膨大に存在する
- データの溜め方に問題があり、活用が出来ていない
- 活用ができれば、新しい価値が生み出せるはず
とはいえ、社内の基幹システムを変更する力など当時の私にはありません。
そこで私は、パイプの原料にもなる鉄鋼材料を扱う部署の同期に相談をしました。
「鉄鋼部の顧客への月間販売量の推移」のデータを入手し、以下を分析しました。
- そもそも本当に景気は悪いのか
- どういった業界がこの不況下でも景気が良いのか
- ターゲット業界に売れる製品はどんな物なのか
結果の一つとして、上流工程は一定の物の流れがあることがわかりました。
そうして私は、上流工程への売り込みを検討しました。
- 上流工程
-
ここでいう上流工程は、より材料に近い加工を担っている会社のことを意味しています。
例えば、「パイプ加工会社」は材料製造ではなく、製品を製造する会社=下流の会社です。一方、「鉄の板をカットする会社」は材料製造=上流の会社です。
ここからは話が長くなるので、割愛します。
結果として案件入手まで行きますが、エリアが違うため他の支店に接続しました。
(ここで大型受注が出来ていればカッコよかったですが、、、すいません。)
MEMO:振り返りポイント③
振り返り
ここからは、振り返りポイント①〜③を順に見ていきます。
どうすべきだったか、皆さんもぜひ一緒に考えて下さい。
(そしてこっそり教えて下さい。 Facebookリンクはこちらです。)
ものづくり補助金は本当に軸として正しかったか?
正直、上司に言われたからやったという、社会人として価値が低い動き方でした。
本来であれば、色々は疑問を持ち、意義づけをした上で動くべきです。
- 設備投資のボトルネックは、資金面なのか?
- 補助金が出るなら設備を買うのか
- ボトルネックは資金面ではなく、仕事量の減少なのではないか
- ものづくり補助金の申請サポートは本当に必要とされているか?
- 自社で申請ができる会社の割合
- 同業他社はどうしているのか?
- 他社も同じ提案をしているのか
- 他社もコンサル依頼なのか or 他社は自社内で書いていないか
こういった課題感を常に持ち続け、最大火力を出せる選択をすることが必要でした。
拡販路線は本当にパイプ業界だったか?
これも同じことが言えると思います。パイプという選択が間違いだとは思いません。
しかし、「色々な方向性を検討し、根拠を持てていたか?」と問われると答えはNoです。
せっかく数十社のテレアポをして、結果が出たんです。
まずは自分の動きにおいて、振り返り・分析をするべきでした。
- テレアポ自体のヒット率
- どんな業界がアポ取得率が高かったか
- 他部署顧客と完全新規顧客でのアポ取得率の差はどの程度だったか
- テレアポ担当者による差異はあったか
- 補助金軸でのヒット率
- 補助金はどの程度ニーズがあったか
- 業界による違いはあったか
- ついで提案でヒットした製品
- 補助金以外で人気があった製品は何か
- 補助金以外で顧客が抱える課題は何だったか
これが先に出来ていれば、パイプ業界への営業やDXセミナーの前に、データ活用のアクションが取れていた可能性が高いです。
データ活用の進め方について
スモールスタートで仮説検証を回すことは、正しかったと思います。
「結果が出れば、上も納得してくれるだろう」という思いも間違ってはいなかったと思います。
しかし、もっとやれることはありました。
例えば、
- 社内にいるDXセミナーの企画担当と直接会話をする
- DXセミナーの取り組みの背景を知る
- 経営層としての思いを知る
- 上記を知った上で、提案をしてみる
- もっと仲間を探す
- 周囲に自分の考えを伝え、意見をもらう
- 協力者が現れれば、複数の仮説検証を共同で回す
本当に会社のことを「自分ごと」で考えられていれば、新人でも出来た行動です。
こういった考え方が個人としての価値を高めるのだと、しみじみ思います。
ぜひSHIBASANについて、もっと知って下さい。
いかがでしたでしょうか。商社編ももうすぐ閉幕です。
次回からは、ベンチャー企業への転職に話が切り替わっていきます。
自分の考え方の根本がここで形成されたといっても過言ではありません。
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将来、私が後継となるトレー町工場についてもぜひご覧ください。
町工場の承継ハードルを下げる取り組みも開始しております。
営業大変ですよね。具体的な失敗体験も聞いてみたいです。
文章上手ですね。