『ビジョナリーカンパニー』を読んで
経営者必読本『ビジョナリーカンパニー』×後継
『ビジョナリーカンパニー』は経営者の必読本とも言われています。
本記事では、「経営者の必読本が後継にどう映るのか」を記載します。
以下に当てはまる方に是非読んで頂きたいです。
- 『ビジョナリーカンパニー』の内容を知りたい方
- 経営について考え中の方
- 1人の後継がこの本を読んで何を思うのか知りたい方
後継による『ビジョナリーカンパニー』の要約
まずは私なりの要約です。
「ビジョナリーカンパニー」とは
「ビジョナリーカンパニー」とはCEOによって選ばれた、18社です。
- 700社のCEOを対象に、「ビジョナリー」だと思う企業5社をアンケート調査
- その中から上位20社を抽出
- さらに1950年以前に設立された会社のみを抽出
本書では、「ビジョナリーカンパニー」と競合企業の比較を繰り返し、
共通点を見出していきます。
「ビジョナリーカンパニー」の特徴
私から見た「ビジョナリーカンパニー」の共通点は以下の3点です。
- 揺るぎない大きな理念を持つこと
- 理念を組織全体に行き渡らせ、不滅のものにすること
- 大きな理念を軸にPDCAを回しまくること
揺るぎない大きな理念を持つこと
『何のために会社が存在しているか』の言語化
利益を超えた理念を持つ
「自動車事業で莫大な利益を上げるべきだとは思わない。利益は適切に抑えて、販売台数を多くする方がよいと私は考えている。なぜなら、車を買って、車に乗ることを楽しめる人が増え、そして、十分な賃金で雇用できる人数が増えるからだ。この二つの目標を達成することに、私は人生を賭けている。」
ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス(山岡洋一訳)
上記はヘンリー・フォードの言葉ですが、真っ先に利益追求を否定し、顧客の幸福の最大化・雇用の拡大をトップにおいています。こういう会社だからこそ思いに共感した社員が集い、やりがいを持って働いていけるのだと再認識しました。自分が働いていたベンチャー企業でも間違いなくこれに当てはまっていたと感じました。
利益を超えた理念の強み
目先の利益に捉われると成熟産業に注力し続ける危険が高まります。
それはつまり、時代の変化に対応ができず、長期で見たときに競合に対して遅れをとることになります。
理念に従い行動し続けることで、未来を切り開いていく。これこそが重要なポイントだと思いました。ジョンソン&ジョンソンの研究部門の初期責任者の言葉が印象的でした。
「研究部門は、視野の狭い商業主義的な精神で行動せず・・・配当を支払うためでも、J&Jだけの利益のためでもなく、医術の進歩を後押しするために、前進し続ける。」
ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス(山岡洋一訳)
理念を組織全体に行き渡らせ、不滅のものにすること
トップのみが理念を推進しても繁栄は続かない
この本を読むと、どのビジョナリーカンパニーも理念が次世代へ受け継がれることで、圧倒的な成果を上げ続けていることがわかります。世代交代の中で理念が受け継がれないと、利益主義に走ってしまうなど、繁栄をストップしてしまうケースが多いようです。
理念を仕組み化することが最大の競争力の源泉になる
どのビジョナリーカンパニーも初代経営者は、世代交代を強く意識し、理念自体を仕組み化しているようです。具体的には、上記のJ&Jのような研究開発部門への強い権限委譲や目先に縛られずに自由な活動を許容する人事制度などです。これは、評価制度にも反映され、”本当に理念に共感した者だけが、心のそこからやりがいを感じながら、仕事に没頭できる”そんな環境が整えられていると感じました。
この仕組みの力は、理念を浸透させ、各個人が最大限未来につながる成果を出す土壌になります。そしてそれは世代交代においても、理念が浸透した生え抜きの人材に心置きなくバトンを渡せる環境を生み出します。
大きな理念を軸にPDCAを回しまくること
理念を元に大胆な目標を立て続ける
ビジョナリーカンパニーは、理念があるからこそ、リスクを取って新しく大きな挑戦が出来たということを感じました。ボーイングもソニーもディズニーも理念を信じ抜き、競合他社がしなかった挑戦に熱中し、新たな市場を築いてきたことがわかります。ボーイングの社長が上手くいかなければやめればいいという取締役に対し、激怒しながら、従来の爆撃機製造からジェット旅客機市場の開拓をやり抜いたという話には胸を打たれました。
・「航空技術の最先端に位置する。パイオニアになる。」
ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス(山岡洋一訳)
・「大きな課題や冒険に挑む。」
・「航空学の世界に侵食を忘れて没頭する。」
大切なのは理念であり、理念以外は当然のように変わり得る
「3Mはウィリアム・マックナイトの時代から、社会のニーズに合致した革新的な技術を生む出すことを目標にしてきた。」
ビジョナリーカンパニー ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス(山岡洋一訳)
一部に固執した理念ではなく、大きな理念を立てることで、顧客の課題や日常の小さなことが、新しいチャンスの種として捉えられるようになる。そしてまずはやってみよう。という文化があることでチャンスの種が開花する機会を潰さずに済む。この動きを社員全員が出来る理念と仕組みを構築し、最大効率でPDCAを回す。これがビジョナリーカンパニーの真髄だと思いました。
家業への置き換え
- 理念を広げる
- 仕組みに落とし込む
- 理念を軸に未来を志向し続ける
理念を広げる
「トレー製造を通して人々のうつわ=可能性を広げる」を掲げておりますが、「人々のうつわ=可能性を広げる」に変更してもいいのではないかと強く感じました。トレー製造に限定していては、たくさんのチャンスを逃してしまうと危機感を感じたためです。
仕組みに落とし込む
- 人々の可能性を広げるとはどういうことだろう?
- そのことを考え、実行するための時間は確保出来ているか?
- そのモチベーションが生まれる組織の仕組みは整っているか?
などたくさんの疑問が湧いてきました。アイデアはありますので、まずはこの記事をきっかけに社員の皆さんと会話を始めてみようと思います。
理念を軸に未来を志向し続ける
「人々の可能性を広げる=自分自身の可能性も関わる方々の可能性も広げる」
この言葉には、以下の意味合いが含まれると考えています。
- 現状の家業を50年先まで技術を磨きつつ、世代交代を乗り越えること
- 真空成形を通して、顧客の課題を聞きながらサービスをブラッシュアップすること
- 真空成形の枠に囚われず、人々の可能性を広げ続けること
現場のデータ化も、現在お客様へ進めているご提案も、そして私自身動き続けている色々な案件も、全てが未来につながるPDCAとなるよう、これからも頑張り続けます。
ご紹介
家業での取り組みを活かして中小企業の事業承継問題に少しでもご協力出来ないかと思い、
Legacy Linksというサービスを立ち上げました。
色々な方と繋がりたいの一心で動いております。ぜひお話しさせてください。